神戸市外国語大学の第67回語劇祭に行ってきました。
2つの英語劇を観る機会があったのですが、僕が気に入ったのは
英米語劇団が上演した"Communicating Doors"という作品。
あるドアが、20年前に戻れるタイムマシンになっていて、その
ドアを通って主人公が行った時代で出会った人と一緒に、ある
人を殺人犯から救い、それが後世に生きる自分たちの人生をも
良い方向に変えるというお話。
(ざっくりし過ぎて分からんかもしれませんが(笑))
登場人物は6人だけで、6人が揃ってそれなりのレベルの芝居を
してくれました。「それなり」というのは、不自然な演技も
発音が崩れて分かりにくいセリフも散見されるものの、芝居の
世界から放り出されるほど酷い演技・発音の人はいなかったと
いう意味です。
だいたい、大学ESSドラマセクションの公演を観に行くと、
1人や2人は「いやいや、ちょっと待ってくれよ」というような
日本語訛りがきつすぎて英語として理解が困難なセリフを話す
役者がいるものなんですが、英米語劇団の皆さんはそんなに
酷い人がいなかったんですね。
これは素晴らしいこと。
改善できるポイントとしては、
1)日本語の影響を受けた発音を直すこと
2)より自然な演技を追い求めること
3)照明などのスタッフワークの精度を高めること
でしょうかね。
日本語の影響を受けた発音というのは、完璧に取るのはかなり
難しいんですが、本来ないはずの母音を入れないことや、子音が
続くときに最後の子音以外は途中まで発音してドンドン次の
子音にバトンタッチしていくこと、英語の【子音+母音+子音】と
いう音節構造を守って話すことなど。
自然な演技というのは、なかなか難しいんですけど、もっと人間を
観察するのが良いんじゃないでしょうか。腰の曲がった老人の描写が
人工的なことや、ちょっと感情が動くような場面でセリフを言う直前に
無駄に息が出ていることなどを改善するともっと自然な人間に見えると
くると思います。
スタッフワークについては、僕自身が照明をやっていたのでついつい
照明中心になります。
地明かり(演技を見せるベースになる明かり)が作りきれていない
シーンがあったのがちょっと残念でしたね。ちゃんとした明かりが
当たっていないところで芝居をしてるのはもったいないことです。
また、タイムマシンの表現もステージ袖に置いたスポットライトを
何の色も付けずに点灯させるだけではなく、もう一工夫をしてもら
えると良かったかなぁという気がします。
なんとなく、改善案に関する文字数の方が多くなって印象が良くない
かも知れませんが、僕が今までに観た日本人による英語劇公演の中では
確実に平均を上回っています。来年も観に行くのが楽しみになる舞台
でした。