「読むのが遅いんです。早く読めるようになるためにはシャドウイングが
有効って聞いたんですけど、ホンマですか」という感じのものがありました。
(どういう表現を使いはったかをハッキリ覚えてませんけど。)
これ、即答に困ったんです。
というのは、今、どんな読み方をしてはるのか、どのくらい速く読むことを
目標にしてはるのかによって、回答が180度変わるから。
というのは、
1)多くの日本人と同様、返り読みをしていて間に合わない
のか、
2)左から右には読んでいるけれど読んだ内容を把握・記憶できて
いなくて、解答時に読み返す必要があって間に合わない
のかによって状況は全然違いますね。
それと、
3)すでにかなり速く読めるけれど解答に手間取るなどの理由で
間に合わないから、さらに速く読みたい
という場合も、ちょっと違った対策が必要。
特に3)の場合は、シャドウイングなどの口を動かす作業が
かえってブレーキになる可能性があります。
なんせ、言語活動にかかわる、目、耳、口、手(書いたりタイプ
したりするからね)の中で、口は相当、動きが鈍いんですね。
普通の人は、今書いた順番、すなわち、目、耳、口、手の順に
動きがトロくなります。
つまり、目が一番速い。その次に耳。口が3番手で手がビリ。
たぶん、目が100のスピードで動けるとしたら、耳は50とか
それくらいの能力かなぁ。で、口が30くらいで手は10未満。
ま、僕の個人的な感覚ですけど(汗)、まぁ、順番については
文句は出ないはず。
「アナウンサーの喋る速さでは喋られへんけど、聞くのは何とか
ついていける」というのは誰しも納得できることやろし、新聞を
急いで読むときなんかは字面だけで意味を拾って音声は全く意識
してないという読み方ができる人もいるでしょう。
この音声を意識せずに読むというのは、ちょっと訓練が必要なんで
出来ない人もいますけどね。で、日本語は漢字が表意文字なんで
やりやすいんですね。英語のアルファベットは表音文字なんで
余計に訓練が必要。
日本語でもすべてひらがな(あるいはカタカナ)の文章って、
意味を取るのに苦労しますよね。まぁ、日本語のひらがなの
場合は単語の切れ目が分かりにくいからなおさらで、英語の
場合は単語と単語の間にスペースがあるんで、多少はマシです。
ま、いずれにせよ、【目>耳】、ということと、【耳>口】と
いうことは納得できるはず。
ならば当然、【目>口】ですわな。
すると、読むときに口を動かすシャドウイングをやると、
目よりかなり遅い口の動きに合わせて読むことになるわけで、
速度を上げることができません。
まぁ、TOEIC というテストでは【音声を意識しない速さ】で
読める必要は全然ないんですけどね。
ということで、TOEIC に限った話では、3)のように、それなりの
速度で読めている人がそれ以上速さを求める必要はありません。
そういう人は、解答を遅くしている他の原因をつぶすことに
専念しましょう。
読んだ内容を思い出せなくて2度3度と確認のために問題文に
戻るのが原因なら、読む速度を落としてでも、1回読んだだけで
ほぼ全内容を覚えられるように訓練する方が良いわけです。
あるいは、考え過ぎて時間が足りなくなっているのなら、想い
きって捨てる勇気を持つとか、本文中の表現が正解肢でどの
ように言い換えられているかを学んでいくとか、別のことに
意識を向けた方が解決は速いでしょう。
じゃぁ、速く読むためにシャドウイングは全く役立たないかと
いうと、そうではなくて、上で挙げた1)のケースでは大いに
役立ちます。
返り読みの癖が抜けない人。
音声は一方通行ですね。シャドウイングもお手本の音声について
喋るわけなので、返り読みができません。左から右に読み進め
ながら、意味を感じていく練習になります。
一方通行で意味を捉える訓練になるわけです。これをすることに
よって、返り読みの癖を脱却すれば、かなり読むのが短縮でき
ますから、ゆとりが生まれてくるでしょうね。